はじめに
アントン・チェーホフの「桜の園」は、演劇界の代表的な作品だそうで、ストーリーは「ロシアの貴族が借金で領地を競売にかけられる」という喜劇といいながらシリアスだとか、
そんなこんなの目や耳に入ってくる情報にはさておいて、原作を読むこともなく、私はいつものように、いつもの三谷作品を楽しむ感覚で大阪の劇場(森ノ宮ピロティホール)に足を運びました。
劇場に入ると、いつものように(「えっ!本?」って思いながら)パンフレットを買って席につき、開演を待っていました。
観劇レポート
開演10分ほど前に、「舞台は新人なので前説をやれと言われました」と、青木さやかさんが登場しました。思わず拍手!。
「この作品は喜劇ですが、(大阪の)皆さんご存知の(吉本新喜劇のオープニングテーマ)ほんわかほんわかほんわかではなく、ドッと大爆笑するような喜劇でもありません。」
「開演まで時間があるので歌います。」と歌いだしたメロディがAKB48のヘビーローテーションであることに気付くのに少し時間がかかりました。
そして開演時間、アナウンスが始まりました。ロシア語?で…、ロシア語要るのか?と思っていたら、続く通訳で「携帯の電源はお切りください」などの諸注意が…、
そのうち「ピロシキには焼きピロシキと揚げピロシキがあります。」「赤いイクラはサケの卵、黒いイクラはキャビア」とこれ(アナウンス)も三谷さん演出なんだ、
もう始まっているんだと気付かされました。
登場人物が日本名でも把握しにくいのにカタカナなので心配してたんですが、そんなことすぐに忘れていましたね。おひとりおひとりのキャラ設定がしっかりしていて、
会話だけでだいたいどの人物のこと言っているのか分かりやすかったと思います。そんな舞台は幕が変わっても「子供部屋」の場面のままで、
登場人物が外へ出入りするときは、その部屋の掃き出し窓(?)から出入りする設定になっているところも、三谷さんならではの演出なのかなと思いつつ、
それはそれで芝居として成立するから演劇って面白いですよね。
ピーシク(阿南健治)がドゥニャーシャ(瀬戸カトリーヌ)に空のグラスを差し出すシーンは、
阿南健治ホームページ・楽屋の中で裏話があるんですが
(2012年6月30日付けの 〈[212]独り言裏話編:『三谷版桜の園の東京公演を色々と楽しんで,その他の変身も楽しんで^^』〉をご覧ください)、
個人的には、そこが気になっていたので、「なるほど」とひとり納得のシーンでした(笑)。
作品はチェーホフなんだろうけど、三谷さんらしい芝居だったなと思いました。アンコールも3回。楽しかったです。
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