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ガラパリの自然放射線は10mSv/yでも平気はごまかし
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 被曝線量がいくらまでなら安全か…という話がよく出てきます。私が感心しないと感じるのは、 「ある程度なら被曝させてもいいじゃないか」という前提を感じてしまうことです。「少しくらい被曝しても大丈夫だよ」と言いたいのだと思うのですが、 できるだけ広い地域の放射線量をきちんと測って公表すとか、除染するとか、そうした努力がないまま大丈夫だと言われても気休めにしかならないような気がします。
ブラジル、ガラパリの海岸  この気休めの引き合いによく出されるのがブラジルのガラパリという場所の自然放射線量です。 ここの自然放射線量は10mSv/y(ミリシーベルト/年)もあります。でも、そんな高い線量の場所に住んでいる人たちは平気じゃないですか、という論法なのですが…、さて、本当にそうなんでしょうか。
 放射線がとくに高いのはガラパリ海岸の砂で、砂状になったチタン鉄鉱ジルコナイト・モナザイト鉱物が放射性物質を多く含んでいるからだといわれています。 その砂は黒い色をしていで、同じ海岸でも黒くない砂からは強い放射線は出ていないそうです。そして、海岸から離れた町中の放射線量は、世界平均(2.4mSv/y)とそれほど変わらないのです。 以前はもう少し高かったようですが、道路の舗装や建築材料の変化などから、少なくなったとのことです。 つまり、ガラパリの人たちは、年間10mSv/y(ミリシーベルト/年)もの被曝をしていないんですよ。
 ガラパリの砂浜に、放射線治療(民間療法?…日本の湯治の感覚)に訪れる人がいたそうなんですが、福島第一原発の事故以来、訪れる人は減ったという情報があります。 ただ、健康上の問題はないものの、他の地域より遺伝子異常が多く見つかったという報告もあるようですし、 この地域の人に結核が少ない(結核菌が放射線によって殺菌される?)という報告もありますので、自然放射線が他の地域より高いなりの影響はあるような気はします。
 この話が出てくるのは、もっぱら原発の放射線被曝の安全性を強調するために持ち出されたものと見るのが正解かも知れません。

 ちなみに、他の自然放射線の高い地域についてですが…
 インド・ケララは、ガラパリと似て海岸での放射線量が高く8mSv/y前後、海岸から1km以上離れると世界平均値まで下がります。 住居内の線量は海岸に近いほど高くなりますが、コンクリートの基礎の上に立つ建物はそうでない建物の3分の1ぐらいだということです。
 イラン・ラムサールは、温泉中の放射線が高いということで、温泉堆積物の量によって放射線量が変わるようです。高い場所では200mSv/yを超えるようです。 人里は離れているため、そこはそんなに高くないそうですが、地域の材料を使ったためなのか、壁から100mSv/yを超える放射線量を放つ家も見つかったということです。 居住している人家は少ないそうですが、遺伝子異常が見られないかどうかの研究が続けられているようです。
 中国・陽江の自然放射線量は3倍近く高く、その土地の粘土層から作ったレンガで住居を作っているらしく、居住区もその程度の線量のようですが、 健康被害についてはよく分かりませんでした。
2011年 8月 5日 赤沢富士男

写真はWikipediaのものを使用しています
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