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No Nuclear Power Plant
原発推進派の言い分には無理を感じる
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■原子力は炭酸ガス(CO2)を排出しない
原子力発電所の写真  これは原子力(発電)に限った話で、その燃料となるウラン鉱石の採掘やウラン塩の精製、それらの運搬、ウラン濃縮などは原子力を利用していません。 また、原子炉の冷却は火力発電だそうです。ですから原子力発電も少なからずCO2の排出に関与しています。
 そもそもCO2を規制するのは、CO2がその温室効果によって地球の温暖化…つまり、「地球を温める」原因となっているからです。 原子力発電は、核分裂反応から発生する膨大な熱を冷やしながら発電に必要な熱量だけ利用しています。余った熱はすべて大気中に放出しています。 さらに使用済み核燃料からも熱が発生していますが、こちらは地層処分するまでひたすら冷やされるのみで、その分大気を無駄に温めていることになると思うのですが、これは問題にならないのでしょうか。
■低線量の放射線はかえって健康にいい
防護服の写真  完全に狂ってると思いますね(一蹴)。
 放射線を患部に一時的に当てるから効果があるのであって、原発事故で放射性物質が撒き散らされ、放射線を全身に24時間受けている状況と同列に議論できる話しではないと思います。 放射線の電離作用は、DNAを破壊することにつながる作用のことですので、健康にいいとは私には思えません。 そもそもそう主張する方々が、すすんでそのような環境(24時間全身に低放射線を当たる場所)に身を置こうとしているようにも思えませんので、信じないほうが賢明だと思います。
 念のために書き添えますと、DNAは化石からも分離できるほど非常に安定した分子です。放射線に対しても安定していると言われています。 放射線によって破壊を受けるのはDNAが複製される際、二重螺旋構造がほどけて1本鎖になった時だと言われています。 つまり細胞分裂しているときのDNAを壊すというのが生体にたいするダメージということになります。 がんや炎症を起こしている場所は盛んに細胞が分裂していますので、放射線治療が有効なんですね。その際、正常な細胞も巻き添えを食らって破壊されてしまいますが、治療効果のほうが大きいので目をつむっています。 また、子供が放射線に対する感受性が大人より高いというのも、成長するために細胞分裂が盛んだからです。こちらは目をつむるわけにはいかないと思います。
■原発で死んだ人は少ない
骸骨のイメージ写真  交通事故で亡くなった人の数のように、火力発電のために犠牲になったひとの数と比較して「安全だ」という言い分です。 これまで報道された原発事故での犠牲者(死者)を思い浮かべると、確かに少ないように感じてしまいますが、放射線被曝という観点で考えると決して少なくないと思います。 被曝は死人に入れない…と言われるかも知れませんが、実際に被曝して健康不安を抱えている人に聞けばどう言われるでしょうか。チェルノブイリから避難を余儀なくされた人たちはどうでしょうか。 死者の数だけで比較しようとする姿勢に私は誠意があるように思えないのです。今回の福島第一原発の事故では、さらに犠牲者(被曝した人)が増えたと私は思っています。 少なくともウラン鉱石の採掘に従事している人から、ウラン塩精製、ウラン濃縮に関わっている方たちを思っての発言ではないですね。
 何より、そう言われる方に強くお願いしたいと思います。交通事故を起こしてしまったら、謝罪や賠償など、事故を起こした責任を取りますよね。 福島第一原発が壊れてしまった原因はともかく、被害者に対して、事故を起こした責任をしかるべき人がしっかり取るよう主張して頂きたい…と。
■産業の空洞化が起こる
飛行機の写真  風が吹けば桶屋が儲かる…みたいな論法のように感じます。産業活動に電力は欠かせないから、原発がなくなって電力供給が十分できなくなったら、企業は日本から海外に流出してしまう…という言い分です。 そうなると雇用人口が減って失業者が増えてしまうので、日本経済にダメージが大きいと言います。なんだか霊感商法の脅しのように聞こえるのは私だけでしょうか。
 今回の東日本大震災で職を失った人がたくさん出ましたから、失業者のくだりは「はったり」だと思います。電力供給が十分できないかどうかは、福島第一原発事故を起こして電力不足に陥ってるはずの東京電力が 東北電力に電力を回したり、余力があったはずの関西電力が原発の故障で実は電力供給が足りなかったり…と、どうもおかしなことになっていて、何がなんだかワケの分からない状況になっています。 これでは、産業の空洞化が起こると言われても説得力がないと思いませんか?
 産業界も、そんなに大事な電力であるなのなら、このような事態にならないようにしっかり監視してても良かったのじゃないでしょうか。 もちろん、このことは国民にも言えることですから強くは申しませんが…。 事故後の対応も「原発が必要」との一点張りでなく、電力会社への支援活動が産業界から起こっても良さそうな気がするのですが、それもなく「空洞化が起こる、原発に反対してどうするんだ!」と言われても、 本気で産業の空洞化を心配しているとは私には思えないのです。私には正直、どうして原発が必要なのかが、この論法からは見えてきません。 もっとも、円高が高い水準の今(2011年8月19日)現在、電力供給不足の心配よりも円高の影響のほうが心配にはなっているようですが…。
■脱原発は感情論
病気の子供のイメージ写真  「原発は危ない」「子供たちを守りたい」というのは感情論に過ぎないから、脱原発論者こそ社会生活基盤を破壊する危険な考えだと言われます。そうでしょうか。 脱原発論者も危険な包丁や火を使うじゃないか…という論法ですが、家庭の主婦が原子力で卵焼きや野菜炒めができるような話ではないと思います。 「危ないものは危ない」…感情論と言われようと、本当にそう思うのですから、私は「脱原発」を主張します。放射線にはがんのリスクがつきまといます。 私のようなオジサンには生殖活動は不要ですし、がんに罹っても加齢によるものか、放射線によるものか大差ないですから、私が被曝してもリスクは知れてます。 でも、これから将来ある子供たちを守りたいと思うのは、単純に動物の本能と考えても自然なことだと思います。 社会や経済を考えても、子供たちが将来の担い手になることを考えると同じことではないかと私は思うのですが、 子供たちより経済優先、電力利用の生活メリット優先、果てには軍事(核抑止)優先のような発言は、将来のことよりも、今現在の自分の利益しか考えていないように、私には見えます。
■原発要らないのなら電気を使うな
 原子力の電気は使わないから、それ以外の電気を送るようにしてください。できないことを言うのは卑怯だと思います。
■原子力の電気を使っているのだから容認しろ
 原子力がこんない危ないものだと分かっていたら、最初に認めていなかったと思います。これからも電気は使うと思いますけど、原発容認は無理です。 原発が安全だと分かれば容認できますが、事故を起こさないという保障はないし、放射線の封じ込めにも疑問がのこるので、それも無理です。 こちらが否定できない前提で言ってるのですから、ムチャクチャだと思います。
■熱中症は脱原発論者のせい?!
救急搬送のイメージ写真  これは本当にムチャクチャです。言いがかりです。そこまでして原発を続ける理由が分かりません。大半の原発推進論者も、さすがにここまでは思っていないと思いますが、どうなんでしょうか。
 今年の夏も、確かに熱中症で倒れた方、たくさんいらっしゃったと思います。とくにお歳を召してくると感覚が鈍くなりますから、節電のためにエアコンを止めて暑くても辛抱できてしまっていたのだと思います。 そもそも電力供給不足の危機は、ピーク電力にあったはずです。だとすれば、ピーク電力を抑える対策をすればいいわけで、当初行われた時間・地域別の計画停電は「原発なくなったらこうなるぞ」的な、 原発推進キャンペーンに他ならないように思えてしまいます。それで首都圏はかなり混乱してましたから、ちょっと悪質なキャンペーンだったと言えるのではないでしょうか。 もちろんこれは結果論であって、当時の東電の職員さんたちは、それなりに必死だったと信じていますが、ピーク電力対策としては失敗だったと言っていいのではないでしょうか。
 ただ、国民の節電意識が高くなったことはとてもいいことだと思います。もう何年も前から1年365日24時間、エアコンの快適な生活に慣れてしまい、汗をかいたり、氷などで涼と一緒に水分を取ったりと、 自ら体温を調節する能力を失って熱中症になりやすい体質になってきているのではないか…と、指摘する意見もありますので、やはり夏は汗をかき、涼を楽しむことを取り戻したほうがいいかも知れませんね。 いずれにしても、東電や政府が必要以上に節電を求めていたのは確かだと思いますので、それを原発を認めないからという言い分に変えるのはいささか無理があると思います。
2011年 8月21日 赤沢富士男

写真はMicrosoftクリップアートのものを使用しています
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