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終わりが見えない |
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被曝の問題は、ヒトが放射性同位元素の利用をはじめたところから始まりました。被曝の問題に終わりがあるのでしょうか。 2011年 7月24日 赤沢富士男
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■放射線発見以前(年表の年数は大雑把です) | |||
超新星爆発 宇宙誕生ビッグバンから、最初に水素(1H)やヘリウム(4He)が出来、次々に重い元素が合成されていきますが、太陽のような恒星の中心部のエネルギーで出来るのは鉄(56Fe)までです。 それより重い元素は、太陽より大きい恒星がその死を迎え超新星爆発を起こしたときに作られます。このときのエネルギーは凄まじく短期間で放出されますので、 ウラン(238U)までの重さのあらゆる種類の元素が誕生します。重い元素のほとんどは不安定(放射性同位元素)で、すぐに鉄(Fe)や鉛(Pb)といった軽くて安定した元素に崩壊します。 地球誕生(45億年前) 私たちの太陽系は、こうした超新星爆発のときに出来た塵やガスから誕生しました。 このときの地球はドロドロに溶けたマグマオーシャンに覆われ、重い元素は対流しながら沈み地球の核(コア)となっていきいます。こうして約1億年かけて地球が作られてきました。 地下の放射性元素は放射線を出しながら地球を温め、外からは宇宙線が容赦なく降り注いでいました。地球にいまに近い原始の海洋ができたのは約40億年前といわれています。 海洋ができるとほどなくして、その海底にある火山噴出口で最初の生命が誕生しました。無防備なままの地上には宇宙線が降り注いでいたので、生命は深海でしか生きられなかったからです。 しかしまだ地球は熱く、好熱性の細菌しか生息していませんでした。 30億年ほど前になって、地球のコア(核)が完成すると地磁気が生まれました。それによって地球を取り巻くバンアレン帯が形成され、地球は宇宙線から守られるようになり、生命圏が深海から海面へ広がってきました。 しかしまだ、生命にとって有害な紫外線がバンアレン帯をすり抜けて降り注いでいました。生命にとって、海面や地上はまだ危険な場所でした。 酸素、そしてオゾン層の形成(20億年前) 太陽の光が利用できるようになると光合成を行う細菌が登場しました。海洋の中、大気中にゆっくりと酸素が増えていき、上空にオゾン層が形成されました。紫外線はオゾン層に吸収されるようになりました。 こうしてようやく地上は生命が生きられる場所になり、進化の場所を地上に広げていきました。こうして現在の地球の姿になったのは、つい最近のことです。最近といっても億年単位ですが…。 放射線はDNAを破壊する 宇宙線(放射線)は、細胞の奥深くに入り込み、進路にある分子を破壊します。そこに遺伝子(DNA)があるとそれを破壊します。放射線の中で生命が生きられない理由です。 しかし、元々宇宙は放射線だらけでしたので、生命は自らDNAを修復する能力を持っていました。おそらく生命は、DNAを破壊され、DNA修復して進化してきました。 それが間に合わない放射線量の場所には進出できなかったのだと思います。現在もまだ地下の放射性物質が地球を温めています。地球圏の外も相変わらず宇宙線、紫外線が吹き荒れています。 | |||
■原子力利用の始めと終わり | |||
ウラン鉱石の採掘 原子力発電の燃料はウラン235(235U)です。その原料となるウラン鉱石は、当然どこかで採掘しなければなりません。 埋蔵量の多い国はオーストラリア、カザフスタン、カナダ、南アフリカ、アメリカ合衆国などになるそうです。さて、誰が掘るのでしょうか? 燃やしたり消したりできる化石燃料とは違って、勝手に放射線を出すような代物ですから、当然ながら、採掘して集めれば放射線量は増加します。 もちろんその分、作業する人は被曝します。炭鉱労働者と同じで、放射線に対する知識も乏しいでしょうから、吸い込みによる内部被曝もしているでしょうし、 周辺の土壌や水も汚染していることは想像できるわけです。日本にも岡山県人形峠にかつてのウラン鉱山があったようで、そこで働く労働者に高い割合で肺癌が発生しているともいわれています。 採算が取れないため早々に閉山したようですが、残土堆積場が今も残り、それを洗い流した雨水の溜池も汚染されたままといいます。 オーストラリアのウラン鉱山も、記録的な大雨によって鉱滓堆積ダムの放射能汚染水が漏水する危機に直面しているそうです。燃料となるのはウランですが、 ウランの周りには、ウランが崩壊した違う核種が放射線を放っています。そうした役に立たない放射性鉱石が残土として積み上げられるのです。 ウランの精製 ウラン鉱石は施設内の工場で粉々にされ、いろいろな工程を経て、イエローケーキと呼ばれる精錬したウランとなります。ここでウラン塩だけになったので放射線が強そうですね。 つぎにウラン濃縮(核分裂反応に有効な235Uの割合を高くすること)しやすい転換工場に運ばれます。こうすると235Uと238Uを分離しやすいそうです。 最後にウラン濃縮工場に運ばれ燃料として利用可能なウラン濃度に調整します。当然、ここにあるすべての工程に対して、放射線被曝は避けられません。日本にあるのは濃縮工場だけらしいです。 ウラン燃料(ペレット) 最終的に、縦1cm、横1cm程度のペレットと呼ばれる円筒形の形に整形されます。これを燃料被覆管という筒状の容器に1列におよそ350個のペレットを入れます。これを燃料棒といいます。 燃料棒は長さが4mあります。燃料棒をさらにおよそ100本から200本束ねた燃料棒集合体とよびます。ここでようやく原子炉内で使う形となります。 施設内の放射能汚染 ウラン燃料とその核崩壊生成物(これも放射能をもつ)はペレットに閉じ込められるとありますが、完璧ではありません。原子炉も格納容器も放射能を封じ込める壁だと説明されていますが、 実際には冷却水やタービンを回すため蒸気を送る配管などがあり、完全な壁ではありません。原子力発電に使われる設備や装置、作業員が着る防護服からマスク、手袋、工具、道具にいたるまで ありとあらゆるものが放射能を持つようになります。これらを低レベル放射性廃棄物として処分するようですが、ドラム缶やコンクリートに詰めて施設内に保管しているようです。 その先は?…最終処分については青森県六ヶ所村の地下に保管することになっているようです。そして300年間管理しなければならないそうです。300年の後は? 使用済み燃料 用が済んだ燃料棒は「はい終わり」ではなく、まだ核崩壊がペレット内で続いてますから、原子力発電所内の核燃料貯蔵プールに沈めて引き続き数年から10年間冷やし続けます。 そのあと、高レベル放射性廃棄物として処分することになっていますが、こちらはさすがに厄介です。まず燃料をガラスで固めたガラス固化体にして専用の冷却施設でさらに30年から50年冷却します。 それからの最終処分については地下に保管(地層処分)することに決まっていますが、その場所はまだ決まっていないようです。 もっと厄介なのは、原子力発電所そのものの解体処分です。 | |||
■終わりが見えない | |||
高レベル放射性廃棄物については、核崩壊生成物の中には半減期が数千年というものがあり、いったい何年先まで管理するのか?…という声があります。
ガラス固化体を冷やしたあと、厚さ約20cmの炭素鋼(水の浸食に強い)の中に入れて、さらに水を通しにくい粘土の一種でさらに大きく覆いをかけて地層に埋めるのですが、
そもそも何年もつのかが不明なうえ、思いもしない(想定外)の核反応が起こり、再び大きい崩壊熱を出さないとも言えません。そんな地下奥深くで事故が発生したら、
それこそ管理できないから、施設は地上に作ったほうがいいのじゃないかという議論さえあるようです。 ウラン鉱石の採掘から、最終処分にいたるまで、そこで働く人たちがすべての過程で被曝しているはずで、とくにウラン鉱山の問題はまったく報道されていません。 そして、最終処分をどうするのかということも何も決まっていないに等しい状況にあることを、福島原発事故をきっかけに知りました。 昨今、いろんなメディアで、「それでも原子力発電が必要なんだ」という人たちをお見受けしますが、その頭の中は狂気に満ちているように思えて仕方ありません。 人工の放射能をこれ以上増やさないこと、放射性廃棄物をこれ以上増やさないこと、そして、これ以上被曝に晒される人を出さないことを決めて、 その上で、放射性廃棄物をどのように処分していくのか、これからの若い後継者たち、そして未来の後継者たちに引継ぎをお願いする上でも、きちんと議論して、 国民と住民が納得できて信頼できる形で決めて欲しいと、切に、強く願っています。 | |||
写真はWikipediaとMicrosoftクリップアート、日本惑星協会、中国電力ものを使用しています
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