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単位
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 原発事故発生当初、報道されていた放射線量の単位がいろいろ出てきてワケが分からなくなりました。ネットで調べてもシーベルト(Sv)やベクレル(Bq)以外のものが書いてあって、 あれもこれも相手にしてると、なんだか収拾がつかないので、よくみる単位についてまとめてみました。これは、自分のためにまとめたようなものです。
2011年 8月 7日 赤沢富士男
■シーベルトとベクレル

 とりあえず、福島第一原発事故で関連しそうなのは、このふたつの単位です。シーベルトは被曝線量(線量当量)を表す単位で「Sv」と表記します。 ベクレルは放射能の量を表す単位で「Bq」と表記します。通常、シーベルトは時間当たり毎時(Sv/h)で表すことが多く、ベクレルはキログラムあたり(Bq/kg)で表すことが多いようです。
図:単位についての解説
ベクレル(Bq)
大砲のアニメ
500Bq/kg(ベクレル)は
1秒間に放射線500発
 1秒間に放射される放射線の数を表す単位です。牛肉汚染の原因になっているセシウム137(137Cs)は、約30年の半減期でβ崩壊しますので、 1秒間に1回β線を放射すると1ベクレル(Bq)ということになります。牛肉の場合ですと1kg当たりで表現します。その暫定基準値は500(Bq/kg)まで…というように表現します。 セシウム137(137Cs)に汚染された牛肉は、1kg当たり1秒間に500回までβ線の放射は基準内ということを意味します。
 飲料水の場合は1リットル(L)当たりで表現します。ちなみにセシウム137(137Cs)だと200Bq/Lまでが暫定基準になります。
シーベルト(Sv)
ビーチの写真
夏は紫外線量が多い
さえぎれば減らせる
 生体(人体)が受ける放射線の影響量を表す単位です。ベクレル(Bq)が放射能そのものの強さを表しているのに対して、こちらは受ける量なので、放射性物質から離れるほど線量は小さくなります。 また、遮蔽すれば減らすことができます。 こちらは線量計(ガイガーカウンター)で測定することになります。この場合は、毎時で表されることが多く、文科省から公表されている数値の単位はμSv/h(マイクロシーベルト/時)です。 マイクロ(μ)とかミリ(m)については、のちほど説明します。
グレイ(Gy)
 放射線量を公表しているサイトによっては、μGy/h(マイクログレイ/時)で表していることがあります。グレイ(Gy)も生体(人体)が受ける放射線の量を表す単位なのですが、 こちらは放射線のエネルギー量を表していて、シーベルト(Sv)とは微妙に意味合いが違うみたいなんですね。ただ、環境を測定している場合は、γ線やβ線を主に測っているので、両者はほぼ同じとみなして、 グレイ(Gy)=シーベルト(Sv)で扱ってよいと思います(あくまでも公表されているような環境の放射線量に限ります)。
その他の単位
 放射線に関する単位として、レントゲン、ラド(rad)、レム(rem)、カウント・パー・ミニット(cpm)などがありますが、話がややこしくなるので省略します。
■内部被曝の場合はややこしい

放射線の荷重係数
α線 20
β線 1
γ線、X線 1
陽子線 5
中性子線 5〜20
 セシウム137(137Cs)に暫定基準値と同じ500Bq/kg(ベクレル/kg)の牛肉200g食べてしまった場合、放射線の種類による影響を考えなくてはならなくなります。 これを放射線荷重係数といいます。α線は20、β線、γ線、X線は1、中性子線は5から20の係数と決められています。200gの牛肉の放射能は100Bq(ベクレル)で、 セシウム137(137Cs)はβ線を出しますから、荷重係数である1だけを掛けると200Sv(シーベルト)となります。プルトニウム239(239Pu)はα崩壊をしますから、 これを摂取した場合は荷重係数20だけをを掛け合わせると、牛肉の例で4000Sv(シーベルト)になります。しかもプルトニウム239(239Pu)の半減期は2万4千年ですから、 いかに人体に有害な放射性物質かってことがこれだけでも分かりますよね。プルトニウム239(239Pu)の暫定基準値は1Bq/kg(ベクレル/kg)です。
内臓のイメージ写真  さて、内部被曝の場合、実はもうひとつ実効線量係数というものを掛けます。これは物質によって体内での吸収の度合いや、代謝に違いがありますので、核種ごとに違う係数が定められています。 経口摂取か吸入吸引かによっても代謝が異なりますので係数も違ってきます。
 セシウム137(137Cs)で計算すると2.6μSv(マイクロシーベルト)になります。セシウム137(137Cs)の半減期は約30年ですが、体内での代謝によって排泄されますので、 体内(生物学的)での半減期は約70日になります。これを生物学的半減期といいます。セシウム137(137Cs)の場合、70日経つと1.3μSv(マイクロシーベルト)に、 さらに70日経つと0.65μSv(マイクロシーベルト)なりますよってことです。
 ね、なんのこっちゃ分からないですよね。さらに、ヨウ素は甲状腺に溜まりやすい、ストロンチウムは骨に溜まりやすいとか、臓器親和性もあったりで、 もう素人にはどうでもいいくらいややこしいです。ここでは、プルトニウム239(239Pu)のようにα線を出す破壊力の強いものがありますよ。 その危険度は放射線の種類によりますよ。影響度は何とか係数というのを掛けて求めるみたいですよ。…ということが分かればいいかなと思います。
 食品の暫定基準は、専門家が、いろんな食品を平均これぐらい食べるだろうと決めて、さらに上のようなややこしい計算をして、年間5mSv(ミリシーベルト/y)までになるように求めて決めたらしいです。 でも外部被曝もしますし、ICRPが1mSv/y(ミリシーベルト/y)と言っているところを5mSv/y(ミリシーベルト/y)とするのは高いと思いますので、はやり警戒してしまいますよね。
■シーベルトの七変化

ガイガーカウンターの写真  みなさんが混乱しているのがシーベルト(Sv)にくっついてくる、イロイロです。
 よく聞くのが毎時マイクロシーベルト(μSv/h)、これは1時間の被曝線量が1Sv(シーベルト)の100万分の1を表します。μは100万分の1という意味です。hは時間(hour)です。
 年間1ミリシーベルト(mSv/y)、これは1年間(year)の被曝線量が1Sv(シーベルト)の1000分の1を表します。mは1000分の1という意味です。
 先日、福島第一原発1号機の配管からとんでもない放射線がでているとの報道がありました。その時の値が10,000ミリシーベルト(mSv/h)以上。「シーベルト」とだけしか言わないときは、 毎時だと思って差し支えないと思います。10,000mSv/h(ミリシーベルト/時)以上を1000倍するとミリ(m)がとれて10Sv/h(シーベルト/時)以上になります。
 「以上」と言ったのは、線量計が10Sv/h(シーベルト/時)までしか測定できなかったということで、実際の線量は10,001mSv/h(ミリシーベルト/時)だったのか、 100Sv/h(シーベルト/時)だったのかは分からないという意味です。仮に10Sv/h(シーベルト/時)だったとすると、その場所に40分いると死亡する線量だそうです。
単位の関係(最後は年間から毎時への変換)
1 μSv/h(毎時マイクロシーベルト) → 0.000001 Sv/h(毎時シーベルト)
1 mSv/y(ミリシーベルト/年) → 0.001 Sv/y(シーベルト/年)
10,000 mSv/h(ミリシーベルト/時) → 10 Sv/h(シーベルト/時)
1 mSv/h(ミリシーベルト/年) → 0.114 μSv/h(マイクロシーベルト/時)

図・写真は、Microsoftクリップアートのものを使用しています
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