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万葉の世界(12)
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来むといふも 来ぬ時あるを 来じといふを 来むとは待たじ 来じといふものを
来むといふも 来ぬ時あるを 来じといふを 来むとは待たじ 来じといふものを

 『来ると言っても来ないときがあるんだもの、来ないと言ってるんだから来ると思って待たないわ、だって来ないって言ってるんだもの』

 この歌は大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいつらめ)が、藤原麻呂と恋愛中のものです。藤原麻呂が来るのを待っている「どうして来てくれないの」という気持ちを詠っています。

 この歌の面白いのは「来」「来」「来」「来」「来」と同じ音で続き、リズミカルで響きが良いことだといいます。

 また、歌の意味も面白いですよね。「来ないと言ってるんだから、来ないわよ」ってことなんですけど、そうとは詠まずに、「来ると思って待たないわよ、来ないって言ってるんだもの」と続けます。 さらに、その前に「来ると言ったって来ないときがあるんだもの」と、まあなんとも恨みつらみな気持ちですよね。(^^)
 でもそれは相手を恨んでのことではなくて、「会いたい」と強く想う自分の気持ちをなだめるか、責め立てるような気がします。

 この歌は、ぜひ早口で詠んでください。ちょっとふくれっ面した大伴坂上郎女の恋に悩む姿が見えてきそうです。(^^)


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