FujiPro 雑学館 - 雑学 -
万葉の世界(1)
トップページ雑学万葉の世界>万葉の世界(1)

君が行く 海辺の宿に 霧立たば 吾が立ち嘆く 息と知りませ
 遣新羅使人の歌の中に、難波に残る奥さんが詠んだ歌です。

君が行く 海辺の宿に 霧立たば 吾が立ち嘆く 息と知りませ

 『あなたがいらっしゃる海辺の宿に霧が立ちましたら、それは私が嘆いているため息だと思ってくださいね』と意味です。
 それに対して夫は、広島県の安芸津町風早というところに泊まっていたのでしょうか、こんな風に詠みます。

わがゆゑに 妹嘆くらし 風早の 浦の沖辺に 霧たなびけり

わがゆゑに 妹嘆くらし 風早の 浦の沖辺に 霧たなびけり  『おお、私のために彼女は嘆いているらしい、風早の沖に霧がかかっているぞ』と。

 当時はいまと違って、旅といえば何日もかけて目的地へ赴いていました。お勤めとはいえ、いまでいう長期出張?の夫を心配し嘆く妻のため息を、 霧をみて愛しい妻を想う・・・こうした日本の心は、携帯メールが流行っているいまの時代にも残っていませんか?(^^)

 風早には万葉の歌が多く詠まれているそうです。JR風早駅から海を背にして見える保野山には、「万文字焼」と呼ばれる篝火(電灯)が灯されます。 国道185号線を竹原から呉方面に夜走ると、JR安芸津駅を過ぎたあたりから、「万」の文字が目に入ってきます。

<<-TOP <-RETURN Copyright(c) 2004 FujiMan Production All Rights Reserved