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万葉の世界(9)
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葉根蘰 今為る妹を うら若み いざ率川の 音の清けさ
葉根蘰 今為る妹を うら若み いざ率川の 音の清けさ

 この歌は観念的に詠んでください。現代訳にするとさっぱり分からないんです(笑)。

 「葉根蘰(はねかづら)」というのは、(いろいろ説があるみたいですが)女性が一人前になったときに頭に着ける飾りだと考えられています。
 現代で、成人の日に、女性の方が振袖を着るような感じです。そんな女性の姿を見て歌の作者(男性)は「うら若み」・・・なんて初々しいんだろう・・・と詠います。
 「率川(いざかは)」というのは、春日野の大仏さまの前に宜寸川(よしきがわ=吉城川)があって、その少し南にある細い川のことだそうです。 ほとんど水が流れていないような川なんですが、歌の後半は、そこを流れる水の音がとてもさやさやとしていると詠っています。
 このふたつの歌が合わさって、成人の日の女性の初々しさをぐっと引き立てている・・・そんな歌になっています。

 これは女性に限らず、4月、新入生や新入社員たちが、若々しく、はつらつとしている姿を見て、その初々しさにこちらの心まで動かされるような、そんな心境にも通じるような気がします。
 大人になると、ずる賢くなったり、要領よくなったりしがちです。それを誇りに思うひとさえいますが、いつも初心に戻って、 率川の清けし音のように、いつまでもはつらつとしていよう... と思っていきたいですね(^^A;... だって、いつまでも若々しいひとって素敵ですもん(^^)。
葉根蘰 今為る妹を 夢に見て 情のうちに 恋ひ渡るかも
葉根蘰 今為る妹を 夢に見て 情のうちに 恋ひ渡るかも

 『葉根蘰を今はじめてつけた貴女を夢に見て、心のうちに恋しつづけています』という歌です。

 これは大伴家持(おおとものやかもち)が、ある乙女におくった歌だそうです。ラブレター?(^m^)... だとしたら、 万葉の時代の男性って、なんだか男らしいって私は思うんですけど、どうなんでしょうか(^^;

 好きな女の子が成人式で着る振袖姿に、世の男どもは、どこか“女”を感じて、それでいて初々しい姿に、(感じ方はいろいろあると思いますけど)、 初恋のときめきに似た気持ちを感じたのはおなじじゃないでしょうか(*^.^*)。


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