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万葉の世界(11)
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家にある 櫃に鍵刺し 蔵めてし 恋の奴の つかみかかりて
家にある 櫃に鍵刺し 蔵めてし 恋の奴の つかみかかりて

 面白い歌を紹介します。この歌の作者は天武天皇のお子さん、穂積皇子(ほづみのみこ)です。腹違いの妹・但馬皇女(たじまのひめひこ)との悲恋物語も残っているそうで、 大変多情多感な方だったということです。この歌の意味は・・・

 『家の唐櫃に鍵をかけてしまい込んでいたはずの恋の奴め、私につかみかかってくるよ』

 多情多感な皇子は、何かにつけて恋心が顔を出してくる。そのたびに人を傷つけてしまったり、自分も悩んだりと、いろいろ恋の苦労を重ねてきたわけです。 そこで一大決心をします。「もう恋なんてすまい」。自分の恋心を唐櫃(木でできた錠前の付いた四角い箱)に閉じ込めたというんですね。

 ところがどっこい、そうはうまくいかない。恋の奴が鍵をかけたはずの唐櫃を抜け出して、自分につかみかかってくるというわけです(笑)

 穂積皇子は、宴会の席で、酒たけなわの時、この歌を好んで詠ったとされています。この歌を詠うことによって、恋心が湧いてきたときの戒めとし、ユーモアで自嘲していたんだといわれています。

 気が多い方は、この歌を覚えていてはどうでしょうか・・・え?、σ(^_^)私ですか?・・・はい、そうします<(-_-;)

注)歌の中の「鍵」という字は、「金ヘン」に「巣」(冠は「ツ」ではなく、「くくく」)と書きますが、字が出ないので「鍵」としています。


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