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万葉の世界(17)
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思うはぬに 到らば妹が 嬉しみと 笑まむ眉引 思ほゆるかも
思うはぬに 到らば妹が 嬉しみと 笑まむ眉引 思ほゆるかも

 『意外なときに彼女の家に行ったら、まあ嬉しいと微笑んでくれるだろう。その時の眉を引いた顔が目に浮かぶようだ。』

 夫婦は子供が生まれるまでの間、ずっと別居していて、男は奥さんの家を訪ねるという生活を続けます。それが万葉時代のごく普通の夫婦の姿だったんですね。

 「眉引」とは当時の化粧法のひとつで、半月型に眉墨で眉を引いていたことをいいます。男は微笑む「顔」とは言わずに「眉引」と詠います。いま男はホクホクした気持ちで彼女の家へ向かっているところなんですね。 相見ては 面隠さるる ものからに 継ぎて見まくの 欲しき君かも

 それに対して彼女はこう詠います。

相見ては 面隠さるる ものからに 継ぎて見まくの 欲しき君かも

 『お会いすると恥ずかしくて顔を隠してしまうのに、それでも続けてお会いしていたいあなたです』

 恋する男性に会って、はにかんで、下を向いて顔を真っ赤にして、それでも逢いたくて逢いたくてしょうがないと思う心・・・ とても女性らしい歌だと思います。

 このふたつの歌は、庶民の中で詠われた歌だと考えられています。

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