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何シーベルト?
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 当初は、事故を起こした福島第一原発からの放射能飛散状況が一番の関心事でした。その時書いた記事をこちらに独立させました。 いまは汚染牛や海産物、農作物の放射能汚染が広がって、それらを摂取したときの内部被曝が問題になっています。
2011年 8月 2日 赤沢富士男
■あなたのお近くの放射線量(μSv/h)は?

1.あなたの周辺の放射線量測定値を次のサイトで調べてみましょう
みんなでつくる放射線マップ  ・ (全国版)全国の放射能濃度一覧
 ・ (東北・関東版)みんなでつくる放射線量マップ
 何μSv/h(マイクロシーベルト/時)でしたか? 単位を付けてメモしましょう。
 2011年7月14日の東京(新宿18m高)は0.058μSv/h、広島(39.4m高)は0.049μSv/hでした。
 このときの注意点ですが、(全国版)は文部科学省発表の公式データですが、基本的に空中線量といって、ビルの屋上とか、「そんなとこに人おらへんやろ」というような高い場所で測定しています。 測定している高さはそれぞれのグラフに記載されています。一方、(東北・関東版)は個人の方が測定したもので、比較的地上付近を測定していますが、測定器や測定方法にバラつきがあることを含んでおきましょう。 ビニル袋に入れないで測定し、放射性物質を測定器に付着させたまま測定されてるケースもあり得ると思います。こうしたデータは信頼できないのですが、多分、そのまま掲載されてるような気がします。 まあ、当たらずとも遠からずというところでしょうか。
2.あなたの周辺の自然放射線量を次のサイトで調べてみましょう
日本の自然放射線量  ・ 日本の自然放射線量(日本地質学会)
 国際放射線防護委員会(ICRP)による一般人の年間許容放射線量1mSv/y(ミリシーベルト/年)は人工放射線の線量についての規制値です。その自然放射線量分を差し引くため、地面から出ている放射線量を調べます。
 東京(新宿)付近は薄い青色で0.0178〜0.036μSv/h、広島は黄色で0.0907〜0.127μSv/hでした。(地質学会の単位は「μG/h(マイクログレイ/時)」ですが、「μSv/h(マイクロシーベルト/時)」と同じということなので変換して記載しています。)
 ここでの注意点ですが、地質学会によるデータは地質から計算で求められる推定値であって実測値ではないということです。もともと東京は地質的にみると自然放射線量は少ない地域なのですが、 コンクリートや大理石などを使った建造物には自然由来の放射性核種が多く含まれているということで、ビルなどが立ち並ぶような場所では高めに考えたほうがいいと思います。
3.引いてみよう(差が福島由来の放射線?!)
 測定した線量から自然放射線量を引けば人工放射線量…今日の場合は福島原発由来が相当する…ということになりますので、引き算をします。調べた自然放射線量は幅がありましたが、政府役人が喜ぶだろう大きいほうを採用してみますね。
 東京(新宿)の場合は、0.058 - 0.036 = 0.022μSv/h(マイクロシーベルト/時) …これが出来れば避けたい放射線量ということになります。
 広島の場合は小さいほうを採用しても、0.049 - 0.0907 < 0 とマイナスになってしまいます。広島での測定地点がほぼ40mと地面から大きく離れてるせいだと思いますので、できれば地上付近の放射線量を公表して欲しいと思いますね。
4.年間放射線量は?…また計算ですが。
 時間あたりの線量をずっと浴び続けたとして…1年間の線量に換算してみましょう。東京(新宿)の人工放射線量は0.022μSv/hです。
 1日線量にするには24倍します。0.528μSv/d(マイクロシーベルト/日)になります。これを365倍すると年間線量になります。 計算すると、192.72μSv/y(マイクロシーベルト/年)になります。マイクロ(10-6)をミリ(10-3)に換算するには1,000で割ります。 0.19272mSv/y(ミリシーベルト/年)となります。とりあえず2011年7月14日・東京(新宿)の放射線量は年間換算で1mSv/y(ミリシーベルト/年)より小さく基準値以下でした。
 ちなみに(東北・関東版)新宿駅付近の最低線量0.07μSv/h(1m高)で計算してみると、0.298mSv/y(ミリシーベルト/年)になりました。
 この放射線量は、日にちによってかなり変動しています。また、側溝とか排水枡とか、雨水の溜まりやすい場所は放射性物質も溜まり放射線量が高いなど、 場所によって危険レベルに達しているようなこともあるようです(「ホットスポット」と呼びます)。ぜひ、きめの細かい対策をして頂きたいものですね。
5.自然放射線量の怪(2.4って何?!)
地球が汚染されているイメージ写真  自然放射線量の世界平均は2.4mSv/y(ミリシーベルト/年)と言われています。これを時間あたりに換算すると0.274μSv/h(マイクロシーベルト/時)になります。 これに比べて、地質学会の自然放射線量はかなり低いですよね。ですから地質学会の数字ではなく、この0.274μSv/h(マイクロシーベルト/時)を用いて判断すべきではないかと…私も最初そう思いました。
 でも、よく調べてみると、この世界平均は2.4mSv/yには、地面からの放射線(0.40mSv/y)以外に、宇宙線(0.35mSv/y)、食物などから(0.35mSv/y)、空気中のラドンなどから(1.30mSv/y)が含まれています。 食物と空気は内部被曝線量ですので、比較するときは地面と宇宙線を合わせた外部放射線(0.75mSv/y)だけで行うべきです。これを時間換算すると0.086μSv/h(マイクロシーベルト/時)になります。
 さて、日本の平均線量は1.4mSv/yと言われていますので、実際的にはこれより小さくて0.052μSv/h(単純計算)ぐらいになると思われます。 ヨウ素とかセシウムとか放射性元素は原子番号の大きい重い物質が多いので地面に降り積もってきます。ですので、私は地面と同じ扱いでいいのかなと、地質学会の地面から受ける放射線量で比較すればいいのかなと思い、 宇宙線を計算に入れませんでした。もちろん、私は専門家ではありませんので、私のサジ加減です。念のため。
6.問題は内部被曝(とにかく取り込まない)
防護服のイメージ写真  それよりも問題なのは内部被曝です。よくX線写真とかCT撮影とかの放射線量と比較して安全性を強調されることがありますが、X線写真やCT撮影は放射線だけしか装置から出てきません。放射線を浴びるという意味では、一瞬の被曝(外部被曝)で済みます。
 それに対して、今回、福島原発事故でたくさんの放射性物質(死の灰)が放出されました。放射性物質は身体の外にある間は、服を脱いだり、振り落としたり、洗い流したりして除去することができます。外部被曝は簡単に除去できます。 ですが放射性物質を呼吸することで吸い込んだり、汚染された野菜や肉を摂取することで身体の中に取り込んでしまうことを内部被曝と言って、これはを取り除くことは簡単ではありません。 体内で放射線を出し続けますから、寝ても覚めても被爆し続けることになります。ですから、できるだけ体内に取り込まないようにしたいですね。
 インフルエンザ用のマスク(N95やN99といったウイルス用の密着度の高いもの)の着用や、帽子をかぶる、肌をなるべく露出しないようにするなどの防止策と、 帰宅したら付着した埃を家の中に持ち込まないように、マスクは外で捨てるなど、自衛策が必要になってくると思います。問題は食料品です。こちらは自衛するにも限度があります。流通しているところまでは手が出せません。 しかるべきところで、しっかり安全対策をしていただくしかないのですが…。事故発生当初からの政府・関係機関の対応を見ていると不安な状態が続きますね。なんとかしっかりとお願いしたいものです。
 ちなみに、食肉の暫定基準ではセシウムで肉1kgあたり500Bq(ベクレル)までということですが、このベクトルとういう単位の意味は、1秒間に核種が崩壊して放射線を放出する数です。セシウム137(137Cs)はβ崩壊してバリウム137(137Ba)になりますが、 この1kgの食肉から1秒間に500個の核崩壊が発生し、その数だけβ線という放射線が出ているという意味になります。
(2011年 7月15日)

写真はWikipediaに掲載されているものを使用しています
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